はじめまして。魚屋きのしたの広報担当、藤田裕介です!
今回からお魚の漢字にスポットを当てて個々のお魚の魅力を知ってもらおうと特集を始めたいと思います。
第一弾はタイトルにある「鰆」。
このお魚、当店のある岡山では名物ともされていて、特にお刺身はかつては岡山でないと食べられないと言われていたりもしました。もちろん魚屋きのしたでも主力中の主力。だからこそ第一弾に選ばさせていただきます。
鰆の読み方はもちろんのこと、由来や特徴、その魅力までしっかりとお届けしていきますので、ぜひぜひ一緒に見ていくとしましょう!
「鰆」の読み方と基本知識
音訓:さわら
画数:20画
意味:
魚の名。サバ科の海水魚。食用。サワラ。漢名、馬鮫魚(現代中国でも使われる)。
はい。ということで「鰆」の正体は「サワラ」です。
ちょっと見づらいかもですが、書き順はこんな感じです。
頭にデンと画像を置かせていただきましたが、あちらがサワラ。岡山ではお刺身やタタキで食べられることが特に多いお魚で、その他にも焼き、煮つけと様々な調理法で楽しむことができます。
私が昔働いていた和食店では西京味噌に漬けてから西京焼きにするなど、さっぱりとした旨味に味を足すことも多いお魚ですね~。
この鰆、漢字の由来を追いかけると更に見えてくるものがありますので、じっくりとチェックしていきましょう。
「鰆」の漢字としての由来
鰆の組み合わせはそのものズバリ「春+魚」ですね。
いつもチェックしている漢和辞典(漢字源)によると由来は非常にシンプルで、『春に旬を迎える魚』だと考えていただいてオッケーです。
ただし、ややこしいことに日本全国で考えると鰆の旬は春だけではなかったりします。実は2度あるんですよ~。
- 福井・京都、九州などの日本海側:冬(12月から2月頃)
- 岡山・香川などの瀬戸内海エリア:春(3月から5月程度)
地域によって11月や6月に旬を迎える場合もありますが、上記の様な形でよく知られています。
鰆の旬が春とは言いづらくなってきている
実は魚屋きのしたのある瀬戸内海エリアではかつてと比べて鰆の漁獲量が極端に下がっています。と言うのも主に乱獲が原因で鰆が激減して平成初期に漁獲制限が掛かってしまったから。
瀬戸内海での漁獲量はかつて東シナ海に次いで多く、我が国周辺水域のサワラ類漁獲量の1/3~1/2を占め、昭和61年には6,225トンで過去最高となった。その後は一転し て減少に転じ、平成10年には196トンまで低下し、平成11年には254トン、平成12年には490トンとなっている。
(1)サワラ瀬戸内海系群資源回復計画関係|農林水産省
昭和61年には瀬戸内海全体で6225トンもあった漁獲量が平成10年には196トンまで低下と、制限が掛かるのも仕方がないレベルまで下がってしまったのです。
今でも網のサイズに指定があったり、休漁期が設けられています。そうした甲斐もあって資源量は回復傾向にありますが、当店でも瀬戸内海産、牛窓産の鰆は春の終わりごろのみの限定商品、すなわちレアものとなっています。
岡山県民は鰆が大好きなので、長崎産など県外のものを仕入れても飛ぶように買っていただけるのですが、それ故に最近では春というよりも、冬に美味しいイメージがとても強くなっているように思うことが増えてきました。脂のノリは完全に冬が強いですし。
とは言え、春はさっぱりとした美味しさと真子(卵)が売りで、こちらもまた美味という言葉がピッタリだったりするんですよね~。
ちなみに瀬戸内海の鰆漁の解禁は毎年大体4月25日ごろです(店主の木下)
鰆は魚料理の万能選手!数ある調理方法をご紹介
鰆は旨味のモンスターです。ただ、身質は脂がありながらも比較的さっぱりしている為、どんなお料理にも合うのが魅力ですね。当店の商品の写真、またSNSにアップされている画像なども含めつつ、いくつか代表的な調理方法をご紹介していくとしましょうか。
お刺身
岡山では特に好まれるのがお刺身です。最近では岡山名物みたいな言われ方をしたりもしますね。
身質が非常に柔らかいので、薄造りではなく分厚さが特徴。切るのが難しいこともあり、良い鰆が手に入ってご家庭で刺身にされるならば多少厚めに切るのがオススメです。
魚屋きのしたでは刺身に出来る柵(ブロック)、またはこちらでカットしたお刺身を販売しています。
鰆のタタキ
カツオのタタキの様に表面を炙って焼き付けるタイプのタタキです。火が入りやすいので焼き付けたらすぐに氷水に漬けて一気に冷まします。
こちらも岡山名物でして、岡山の料理屋では夏を除いて年中見かけますね。
当店でもほぼ毎日のように鰆のタタキは作っていて、行商の際には特に売れ行きの良い商品です。魚屋きのした名物と言っても良いかもしれません。
鰆の焼きもの
塩をかけた塩焼きにもされますし、西京味噌や酒で伸ばした味噌に漬けた味噌焼きなども有名です。
また皮の美味しいお魚ですので、ポワレなど洋食の焼きものにするのもGood!ですね。
個人的には鰆の香りに優しい味噌の風味が乗る西京焼きは好物の1つだったりします。
鰆の酢じめ
岡山では酢で〆た鰆も好まれています。
ばら寿司(岡山のちらし寿司)、こうこ寿司(たくわん入りのちらし寿司)などの具材として特によく使われ、昔からの岡山の伝統的な魚として今も語り継がれているんですよ。
牛窓でも時折ご注文される方がいらっしゃって、皮付きのまま薄切りにして塩をした状態でお渡ししています。後は酢に漬けるだけという形ですね。ちなみに私が作る場合は塩は最低15分、お酢には最低40分は漬け込みます。
白子の味噌汁
今日は鰆の白子を
GETできたから
白子の味噌汁にした❤後は昼間に作ったやつと
さっき作ったやつ( ơ ᴗ ơ )腹ぺこだから
頂きます( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ ) pic.twitter.com/vlFehBSlhf— MINA( ˘•🐽•˘ )やべーがん (@Minq_Rindq77) May 2, 2022
カマを味噌汁にすることもありますが、絶品なのが白子のお味噌汁。
春にしか出てこない白子を贅沢に使いお味噌と合わせると何とも言えない風味が部屋中に漂います。料亭や割烹料理屋などではこれまた岡山名物の黄ニラとの組み合わせもよく見かけます。
最近では春が旬とは中々言いきれないのが魚に春と書く鰆です。
しかしながら昔からの春の味わいの記憶は今でもしっかりと残っていて、その美味しさは失われるものではありません。
漁獲量の更なる回復を祈りつつ、漁業の面でも岡山名物と言い続けられる。魚屋としてはそうした想いが尽きません。これからも大切に鰆を扱っていきたい。そんな風に考えています。
ぜひ皆さんも良い鰆を見つけたら食べてみてくださいね。当店でネット販売している魚ボックスにも絶品の鰆がちょくちょく登場しますよ👍
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